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代表理事からのメッセージ

平成29年3月24日

救急医をめざす君へ

一般社団法人 日本救急医学会代表理事 横田裕行

一般社団法人 日本救急医学会
代表理事 横田裕行

 救急医というと皆さんはどのようなイメージを持たれますか? 拘束時間が長く、自由な時間がない? 専門性が良くわからない? 開業ができない? ご安心ください。そのようなイメージは救急科医専門医研修プログラムを有する施設にはありません。むしろ、後に述べるように裾野が広く、自由度が高く、様々な選択肢の中から自分の活躍の場、専門性を決定できるのが救急医です。

 では、どのようなタイプが救急医でしょうか。様々な救急患者さんが搬送され、それに迅速に対応するER(救急初療室)で活躍する先生? ドクターヘリやドクターカーに乗って重症の救急患者さんに救急の現場から治療を開始する医師? 重篤な多発外傷、広範囲熱傷、頭蓋内疾患に対して迅速で的確な外科的治療を施すSuper-Surgeon? 他の診療科では治療できないような敗血症や急性中毒に対して最新の機器を駆使して的確な治療を提供するintensivist1? 大災害現場にいち早く駆け付け、急性期災害医療の主役となるDMAT隊員? いずれも実際に活躍している救急医たちの姿です。

 救急医学は外科や内科、あるいは小児科や整形外科などの領域と比較すると新しい学問体系を有する診療科です。救急医学の学問体系は 1)Pre-Hospital(病院以前での医療展開)2)ER(救急初療室での医療展開)3)OR(外科的治療),ICU(集中治療)の3つに分類されます。

 1)については前述のドクターヘリ、ドクターカー、DMATや多数傷病者への対応などが含まれ、社会的にも最も注目されている分野で、テレビの主人公になったりしますね。実際、若いバリバリの救急医たちが大活躍しているのでご存知の皆さんも多いと思います。

 2)は救急外来や救命救急センター初療室に搬送される救急患者さんの重症度や緊急度Killer Diseaseを的確に判断し、必要な患者さんに適切な治療を行うための分野です。シフト性を導入している施設も多く、社会的なニーズが極めて高い分野で、家庭を持った女性医師も大勢活躍しています。

 3)については救急医ならではの外科、整形外科、脳神経外科領域でのDamage Control SurgeryやHybrid手術室での外科的治療法や最新の医療機器を駆使した集中治療の分野です。各科の信頼を得て、救急医が最もそのidentityを発揮する分野の一つです。

 このように救急医学は内科、外科、脳神経外科、整形外科、小児科などの他の基本領域はもちろん、公衆衛生や行政組織など従来の学問体系や診療体制を縦糸とすると、これらの診療体制、組織を利用して個々の救急患者の特性に合わせて横断的に統合する横糸に相当する学問体系を有しています。

 また、従来は救命が困難であった重篤な救急患者さんに対して、新しく自由な発想で治療に当たってゆく高い理想を有しています。救急医が担当する患者さんは外傷や循環疾患、中毒、熱傷や敗血症などの急性期疾患が主体となり、まだまだ解明すべき課題が多々あります。また、救急患者さんに質の高い救急医療を提供するためには、行政や社会と共同して解決すべき諸問題が山積し、救急医学の奥の深さを反映しています。まさに裾野が広く、理想が高く、奥行きの深さを持っているのが救急医学です。

 さらに救急医学の大きな特徴は、基本領域の一つである救急科専門医取得に加えて、希望すれば他の基本領域の専門医、例えば外科、内科、脳神経外科、整形外科などの専門医取得、いわゆるダブルボード取得が可能なプログラムやカリキュラムが用意されていることです。

 日本の救急医療を支える救急医、救急科専門医はまだまだ不足しています。日本の救急医療のニーズから試算しますと、現時点で約1万人の救急科専門医が必要といわれています。しかし、実際は救急科専門医を取得しているのは、その半分にも達しておりません。社会や多くの医療機関から救急医、救急科専門医のニーズが極めて高まっています。若い救急医や女性医師も活躍が益々注目されています。

 選択肢が広く、自由度が高く、高い専門性を有し、ダブルボードも取得可能な救急医、救急科専門医の門を是非叩いてください。11,000人の学会員全員で皆さんを歓迎します。

お知らせ   2017/03/27