イマドキ「救急女子」の現実は?!
~2013年アンケートに見る救急医学会女性医師会員の動向~
年々増えている救急科女性医師。彼女たちはいったいどんな背景を持ち、どんなふうに働いているのか…?2013年、日本救急医学会女性医師参画推進特別委員会(現男女共同参画推進特別委員会)で日本救急医学会女性医師会員にアンケートを行い、その現状を調査しました。
【1】日本救急医学会女性医師会員は何名いるの?
2013年10月現在、日本救急医学会の会員数は約10800名、そのうち1050名は女性会員(医師以外も含む)。女性医師会員全員にアンケートを送付したところ、385名(37%)から回答を得ました。
*2015年は会員数10921名、男性9715名、女性1206名です。約2年で女性会員数がだいぶ増えました。
【2】年齢、卒後年数は?
いきなり女性に年齢を聞くなんて野暮なお話ですが…
ま、調査ということで…。24歳から30歳が66名、31歳から35歳が110名、36歳から40歳が105名。41歳から45歳になるとぐんと減って33名。でも、61歳以上の先生も8名いらっしゃいました!結果、24歳から40歳の先生で74%を占めていることが分かりました。
卒後年数でみると、6年目から10年目が126名、11年目から15年目が108名で、6年目から15年目の医師が60%を占めていました。16年目以降はぐんと減ってしまいます。
【3】家族背景は?
(1)配偶者はいる?
配偶者がいる女性会員は51%。配偶者の職業は、医師が最も多く60%を占めています。次に多いのは「医療従事者以外」の方。「男性看護師」や、なんと「専業主夫」を配偶者にお持ちの先生もいらっしゃいました!一方、現在配偶者がいない女性会員は49%。そのうち未婚の方が60%、離婚された方が15%でした。配偶者の有無が現在救急医療にかかわっているか否かとは関係ないことが分かりました。
(2)お子さんはいる?
37%の会員にお子さんがいました。そのうち、お子さん1人が約半数、2人が3割、中には3人、4人の先生もいらっしゃいました。
(3)だれがお子さんの面倒を見ているの?
「ご自身」と回答された先生が80%以上。「保育所」が約60%。配偶者、両親や親族が面倒を見ていると回答された方はそれぞれ約30%でした。お子さんは約4割が、未就学児か小学生でした。子育てしている先生は、現在救急医療にかかわっていないのでは?と考えがちですが、アンケート結果では、子供の有無が現在救急医療にかかわっているか否かとは関係ないことが分かりました。
【4】日本救急医学会女性医師会員の所属科や勤務形態は?
1位救急科45%、2位麻酔科13%、内科13%。約80%が常勤として働いており、非常勤は9%、短時間常勤が5%でした。子供の有無と勤務形態についても、救急医療に携わっているか否かと同様、特に関連はありませんでした。
【5】学位は持っている?救急科専門医は?
学位の取得者は全体の25%。学位のない医師の中では約30%が学位取得の希望がありますが、大学病院に勤務する方に学位取得の希望が強い傾向がみられました。救急科専門医は38%が取得していました。学位と救急科専門医の両方を取得している医師は11%でした。
【6】一時救急医療から離れた先生は、もう一度救急医療に関わりたい?
中には家庭の事情等で一度救急医療から離れた先生方もいらっしゃったので、救急医療復帰の意向を尋ねました。これについては23%が無条件にYES。48%の医師は勤務環境が整えば復帰したい、と考えていました。
【7】勤務体制は?
シフト制が38%で当直制が62%で、約半数が夜勤や当直明けの勤務が軽減されていました。
今後もシフト制、交代制の施設が増えていくでしょう。
【8】救急科女性医師のrole modelはいますか?
日本救急医学会の女性会員が全体の10%ほどしかいないのに加え、卒後16年目以降の女性医師が少ないために自施設や身近にrole modelを見いだしにくいと思われます。でも、確実に皆さんのモデルになる先輩たちはいます。2013年より毎年、日本救急医学会総会・学術集会でも、“男性も入れる女性救急医師ラウンジ”を設置し、全国の女性救急医と会えるネットワーキングの場を設けています。 また、本情報サイトを活用して全国のロールモデルを紹介していますので活用してください。
【9】今後はどうしていきたい?
現在救急医療に関わっている女性医師の約70%が、今後も救急科で働き続けたい、と回答しました。
【まとめ】
女性医師が救急医療の現場で活躍するために、救急医の労働環境、将来像の提示、就労支援や復帰支援は徐々に進んでいます。皆さんが知りたいこと、興味あることに応えて、満足していただくために本サイトを活用してみてください。
出典:2013年 日本救急医学会女性医師会員アンケート調査結果(日本救急医学会女性医師参画推進特別委員会 現男女共同参画推進特別委員会)
◁過去の記事: 和歌山県立医科大学 高度救命救急センター 木田 真紀
▷新しい記事: 順天堂大学医学部附属浦安病院 救急診療科 中村 有紀