沖縄県立久高島診療所 / 筑波大学医学医療系 鈴木 貴明
0年
筑波大学医学専門学群医学類
進学動機は、突発不測のイベントによって平穏な日常が脅かされる事のない社会への貢献。自然豊かな環境に魅了され、筑波大学を選択。在学中はテニスにも励み、充実した大学生活を送った。卒業後は救急医療を重点的に学べる初期研修プログラムを持つ国立国際医療研究センター(NCGM)を第一志望として出願。
1年
国立国際医療研究センター病院・初期研修医(救急コース)
東京・新宿の中心で、多様な患者やその家族から多くを学ぶ日々を送る。救急医療の多様性、社会との接点、広範かつ深い学問的魅力を実感。日々の診療では”ABCDEアプローチ”を繰り返し実践し、毎月のICLS指導経験を通じて救急医療の基礎を徹底的に習得。「もう一度初期研修を選べるなら、迷わずNCGM救急を選ぶ」と思えるほどの充実した2年間を経て、後期研修へ進む。
3年
国立国際医療研究センター病院 救命救急センター・専攻医
ERリーダーを任される日を目指し、実践的な研修に没頭。ERが患者で溢れる状況下でのマネジメントに大きなやりがいを感じる。また、病棟集中治療管理や小児救急研修(国立成育医療研究センター)を経験。外傷患者の予測生存率に関する研究や国際医療協力研修に参加する中で、初めて国際学会(アジア救急医学会)での発表を経験。さらに、WHOの外傷予防会議に日本代表団として参加。これらの経験を通じて、International Emergency Medicine / Global Emergency Careに魅了される。
その後、マサチューセッツ総合病院が主導する東アフリカの救急医育成事業や、アジア最貧国とされるラオスでの外傷患者登録・予防・教育に関する研究に参加。3か月の海外滞在を通じて視野が一気に広がる。
6年
国立国際医療研究センター病院
救命救急センター・フェロー 救急科専門医を取得
世界救急医学会での参加を通じて、地球規模での救急医療ニーズの高まりを実感すると同時に、「アジアの中の日本」の役割を強く意識する。Asian Association of EMS学会での活動や、外傷に関するアジア多国間多施設共同研究に参画する中で、アジア各国の救急医と活発に交流。
中長期的なビジョンを考え、公衆衛生学の研鑽が必要と判断。母校の筑波大学に戻り、博士(公衆衛生学)プログラムへの進学を決意。
7年
筑波大学附属病院 高度救命救急センター・病院講師(国際医療センター副部長併任)
筑波大学大学院 人間総合科学研究科・博士課程 進学
国際開発機構(FASID)の奨学生として、ASEANの交通外傷を専門とする指導教官のもと、ラオスの交通外傷死亡率減少に資する救急医療体制構築について研究。在学中、大学病院のER診療・教育を担当し、異なる診療体制の中で柔軟に対応。また、大学病院の国際化推進部署の管理を併任し、途上国の救急医療人材育成にも尽力。厚労省の国際展開推進事業を通じて、ラオス、カンボジア、ベトナム、ブラジルなどでプロジェクトに参画。
9年
JICA草の根技術協力事業 採択・プロジェクト責任者
ラオスの救急医療体制強化を目指し、「SAFERプロジェクト(Project for Stopping the Accident Fatality Rise by EMS development and Road safety)」をJICAに提案し採択。予算規模1億超の事業管理者として初の挑戦を経験。SAFERでは、①日本で言う119番制度に相当する救急通報番号および指令管制センターの設置 ②救急車動態管理や情報電子化システムの導入 ③救急医、看護師、救急隊員の人材育成 の3本柱に基づき事業を展開。COVID-19流行期の制約や円安進行、相手国の国内経済問題など多くの課題に直面する中、計画の見直しを繰り返しながら事業を遂行。
12年
博士(公衆衛生学)取得
博士論文「アジア後発開発途上国ラオスにおける道路交通外傷患者に対する救急医療サービスと衝突後の生存転帰に関する研究」を完成。基礎・臨床とは異なる社会医学的観点からの試練を乗り越え、無事修了。
13年
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター附属久高診療所・所長
筑波大学医学医療系(救急・集中治療医学)・客員研究員
救急科指導医を取得
家庭の事情により沖縄県・久高島に赴任。人口200人未満の小さな島で、島唯一の医師としてプライマリケアから救急対応、学校検診、健康相談、終末期ケアまで幅広く担当。特に救急患者は全て定期通院の患者でもあり、救急対応後のフォローも自身で行う為、ERでの「初めまして」「一期一会」の状況とも大きく違い、自分の力量如何がアウトカムにも直結。限られたリソースの中での診療を通じ、公衆衛生の視点を活用しながら医療を提供。
これからのプラン
今後も救急医を軸足に、公衆衛生、国際保健、プライマリケアの3分野を往来しながら、離島やへき地、途上国に至るまで、資源制約下での救急医療体制構築に貢献することを目指していければと思う。
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