page.php

メディカルコントロール

Home » 救急医の詳細 » 救急医だから出来る10の事 » メディカルコントロール

初療室のホットラインが鳴った

「こちら○○市消防局○○救急隊の救命士○○です。心肺停止患者に対する指示要請です。患者さんは目撃のある心停止で初期波形PEAです。関係者によるバイスタンダーCPRが実施されています。これより、地域MCプロトコールに従い特定行為の静脈路確保、アドレナリン薬剤投与の指示要請をお願いします。…」

指導医の私は、救急隊の現場の活動状況を把握した上で、救急隊に口頭指導を実施した。

メディカルコントロール イメージ

救急医の活躍する場所は、初療室やICUだけでなく病院前医療へと拡大している。

しかし、救急医が現場の全ての傷病者を病院前で診療することは不可能である。救急要請を受けて現場に駆けつける救急隊との協力無しには病院前医療は成り立たない。

そこで、オンラインメディカルコントロールにより救急隊の医療行為に対して指示、指導、助言等を行うことが必要になる。救急救命士が実施可能な医療行為を「特定行為」と呼び、所定の研修を受けると実際に可能となる。

この様に救急救命士の養成や研修も大切なメディカルコントロールのひとつである。

さらに、実地でのオンライン指導の他に各地域でメディカルコントロール協議会を開催し、地域の実情に合わせた特定行為のプロトコールを作成し、実施後には検証によるフィードバックも行っている。

そう、「メディカルコントロール」とは救急現場から医療機関へ搬送されるまでの救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を保証するためのシステムなのだ。メディカルコントロールは地域市民の健康を守るためにとても重要である。

災害医療情報システムのアラームが鳴った

消防からのメッセージは「木造3階建て共同住宅の火災 要救助者多数あり

メディカルコントロール イメージ

災害現場においても私たち救急医は救急隊や他の組織と協力して活動することが多いことが他科の医師と大きく異なる。

各関連機関・組織に対して医学・医療の面では指導的立場をとる場面も多い。消防・救急との協働作業を行うために災害現場に赴き、搬送順位決定や現場での治療介入などの助言もメディカルコントロールのひとつである。

この様に、メディカルコントロールが実際に有効に機能するためには、日常の救急搬送や研修において良好なコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要になる。

若手の救急医も、相互の理解と尊重の中で指導するというよりむしろ同じ目標に向かって行動する仲間との活動を通して、通常の医療活動では経験できない刺激を味わうことが出来る。

メディカルコントロール イメージ

公開日: